
前回の体験談シリーズはこちらから↓
ーーーーーーーーーー
私は前職で
イタリアンレストランのウェイターとアフタヌーンティーのウェイターを兼任していました。
アフタヌーンティーといえば、小ぶりなスイーツがずらりと並んだ贅沢な空間
優雅に注がれる紅茶など、写真を撮らずにはいられないキラキラした空間です✨
お越しいただくお客様の多くは女性同士や母娘
カップルでのご利用が殆どで、会話も空気も華やかそのもの!
私たちスタッフも
「この雰囲気を絶対に壊してはいけない!」
という使命感を抱きつつ背筋をピンと伸ばして日々おもてなししていました。
ーーーーーーーーーー
👥珍しい男性2人組のお客様
そんなある日でした。
いつものように女性グループのお客様を想定して準備をしていたところ
入口に現れたのは20代前半くらいの爽やかな男性2人組。
「お…。これは中々珍しいな」
そう思いながら、なんだか緊張していそうな男性2人を席にご案内しました。
「本日はお越しいただき、誠にありがとうございます」
そんな言葉から始まった会話の中で、とある事実が判明しました。
なんと、男性2名のうち1名は最近彼女ができたばかり。
だから今日は親友を連れて予行練習で来ました!」
と少し照れながら、私に教えてくださいました。
「な、なんて健気なんだ!そして、なんて可愛らしいんだ!」
と思わず心の中で拍手。
「素敵な理由ですね。きっと彼女さんも、そんなお客様の優しさに惚れたんですね」
そう返した男性はニヤニヤしていました。
「そうと決まれば私に任せてください!」
そう。この瞬間から初対面のお客様とウェイターによる
共同作戦が幕を開けたのです。
ーーーーーーーーーー
👨親友ですよね…!?
まず私にできることは
・アフタヌーンのマナーをお教えすること
・当日振る舞うと彼女さんが喜びそうな振る舞いをお教えすることの2つでした。
「(何からお伝えしようかな…)」
そう考えていると、お連れの親友さんがこう言いました。
「〇〇、今日俺、お前の彼女役するわ!」
「(そ、そうくるか!?)」
と思いながらも
「(確かに2人で来たならそれもありか!)」
と思い、暖かい目で2名を見守ることにしました。
いざ料理を一皿ずつ提供するたびに
親友さんが「彼女役」を全力で演じ始めました。
「わぁ〜!かわいいスイーツだね♡」
「ねぇ!このカモミールの紅茶すっごく香りがいいよ〜!♡」
「こんな素敵な空間に来れるなんて幸せ♡」
それはもう堂々たる彼女っぷり。
近くで聞いていた私は思わず噴き出しそうになりながらも
「サービスのプロとして笑ってはいけない…!」
と必死にこらえました。(恐らくニヤニヤしちゃってました)
ーーーーーーーーーー
もちろん、ただ食べて終わりではありません。
紅茶の正しい飲み方やナプキンの扱い方、カトラリーの順番など
“これをやればデートでスマートに見える“ポイントを少しずつレクチャーしました。
「なるほど…!」
と真剣にメモを取る姿は、まるで授業を受ける学生のよう。
「ここまで準備してくれるなんて、彼女さん幸せ者だなぁ」
と心の中で思わず微笑んでしまいました。
ーーーーーーーーーー
🚶♂️🚶♂️ 帰り際の勘違い
やがて楽しい時間も終盤へ。
紅茶を飲み干し、スイーツを食べ終えたお2人は満足そうに頷き合いながら
立ち上がりました。
「これで本番も大丈夫だな!」
「これなら彼女さんも絶対喜ぶよ!」
そんな会話を交わしながら出口に向かう背中を見送りつつ
私はふと心の中で思いました。
「……いや。今日の雰囲気、付き合ってるのはこの2人なんじゃ?」
並んで歩く姿はまるで長年連れ添った恋人のよう。
自然な気遣い、息の合ったやりとり、そして“彼女役”を完璧にこなした
親友の演技力。
あまりに馴染みすぎて、こちらの目には友達以上の信頼関係にすら映ってしまいました。
店の扉を開けて外へと出ていく瞬間、どちらからともなく笑顔で振り返り
深々とお辞儀をしてくれたその姿に、私は思わずクスッと笑ってしまいました。
「これはこれで、素敵な時間だったな。」
そう思わずにはいられない、微笑ましい余韻を残す出来事でした。
ーーーーーーーーーー
ブログランキング参加中です!
もしこの記事が良いと思ってくだされば
下のバナーをクリックして応援してくださると嬉しいです!
ーーーーーーーーーー
🍷その他SNSはこちらから
ーーーーーーーーーー